B-Grade Gourmet and
B-1 Grand Prix
B級グルメと
B-1グランプリ
「ご当地グルメ」のなかでも、
地元に愛されている 安くて旨くてボリュームのある庶民的な食べ物を
「B級ご当地グルメ」と名付けました。
B-1グランプリのBはブランドのBですが、親しみを込めたB級という言葉が
多くの共感を集めました。
B-1グランプリはB級グルメを売っているイベントではない
B-1グランプリは大変誤解の多いイベントですが、中で最も大きな誤解はB-1グランプリが「B級グルメの日本一を決めているイベント」と思われていることでしょう。しかし、
B-1グランプリはいわゆるB級グルメとは関係ありません。
実は愛Bリーグにも「B級グルメの店を紹介してほしい」「B級グルメの企画を検討しているので相談したい」「B級グルメのイベントをするので協力してほしい」といった、お問い合わせが数多く寄せられます。
そのたびに「私たちはB級グルメを売っているのではありません。ご当地グルメでまちおこしに取り組んでいる団体です。
そもそも食べ物を売ることが目的ではなく、“ご当地”をキーワードとして現地に来てもらうことが目的の団体ですので、まずそのコンセプトをご理解ください。」とお答えします。
昨今のB級グルメ人気の火付け役がB-1グランプリなどといわれますが、そもそも私たちはB級グルメに取り組んではいないので、この表現は誤りです。
B-1グランプリの命名
B-1グランプリの正式名称は「ご当地グルメでまちおこしの祭典!B-1グランプリ」。第7回大会までは「B級ご当地グルメの祭典」というショルダーフレーズでしたが、第1回からコンセプトにより忠実にしようと現在の名称になっています。もともと2000年前後から、富士宮で始め全国で、地域のブランド化をめざし、地元に親しまれているご当地グルメを通じたまちおこし活動が始まりました。
まちをPRする地域資源としての食は、食材よりも食文化にフォーカスした「ご当地グルメ」、さらにそのなかでも、地元に愛されている、安くて旨くてボリュームのある庶民的な食べ物を「B級ご当地グルメ」と名付けました。 B-1グランプリのBはブランドのBですが、親しみを込めたB級という言葉が、当初多くの共感を集めました。
第1回B-1グランプリが開催された2006年当時、ご当地グルメといえば、和牛・伊勢海老等に代表される地域ならではの高級食材や旬の食材、加えて郷土料理などがイメージされました。今でこそ、「富士宮やきそば」といえばご当地グルメの代表的な食べ物としてイメージされるようになりましたが、当時はやきそばやおでん、焼鳥といった食べ物は、地域独特の個性的なものであっても、ご当地グルメという言葉はしっくりきませんでした。
またご当地ラーメンという言葉はありましたが、ご当地やきそばという言葉はありませんでした。
当時、ラーメンの地域性についてはかなり知られるようになっていましたが、それ以外の日常食にそれほど地域性があるとは、ほとんどの方が知らなかったためだと思います。
今でこそ、各地の焼きそばにこれだけ個性があることが知られてきましたが、当時はほとんどの方がその事実を知らなかったのです。
ちなみにB-1グランプリの発祥の地は青森県八戸市であり、第1回大会の主催は愛Bリーグではなく、八戸せんべい汁研究所でした。
当時、八戸への新幹線開業をきっかけに何か土産物の開発を、という目的でプロジェクトが始まりましたが、途中からせんべい汁のお土産ではなく、せんべい汁そのものをPRしていこうという形に変わってきました。
さらにまちおこし団体の成功例として、かなり知られるようになっていた富士宮やきそば学会から様々なアドバイスを得て、「せんべい汁を売る」のではなく、「八戸のまちを売るためにせんべい汁でPRをする」ことが、実は成功のための重要なポイントであるということを理解します。
そこから「せんべい汁」ではなく「八戸せんべい汁」と地域名を付けてブランド化する活動が始まります。こうしたつながりをきっかけに、地元の活動だけでメディアに継続的に取り上げられることのむずかしさを感じ始めたころ、全国大会を開催し、多くの仲間で共同PRをしようというと考えました。
その際、郷土料理である八戸せんべい汁と日常食である富士宮やきそばを同じステージでPRするために共通の言葉があったほうがいいのではないかという話になります。
もともとご当地をPRしていこうという取り組みであったので、「ご当地グルメ」が一番相応しいものではありました。
しかし、やきそばの地域性がほとんど知られていなかったため、ご当地グルメの中でも、安くて旨くて日常的に食べられているものを「B級ご当地グルメ」と名付け、郷土料理も含め、まちおこしの地域資源として共同PRを始めたのです。
B級グルメのマイナスイメージ
B-1グランプリはまちおこしイベントであり、食は提供しますが、その販売自体が目的ではありません。地域独特のご当地グルメを活用し、地域をPRすることが目的です。「ご当地グルメでまちおこしの祭典!B-1グランプリ」は、そのコンセプトを直接的に表現し、全国的にも知られる熱気あふれるイベントになっていますが、2005年当時、まちおこしという言葉は地味で、必ずしも明るいイメージではありませんでした。
ここであえて「B級グルメ」のイメージを考えてみましょう。B級グルメの明確な定義はなされていませんが、基本的には「安くて旨い食べ物」というイメージではないでしょうか。1980年代後半にB級グルメブームがありましたが、その時には「味はA級、値段はB級。高くて旨いのは当たり前。安くて旨いから価値がある」などという名キャッチも生まれました。
B級グルメの「B級」という言葉は、「B級映画」に由来するものであると考えられています。
「B級映画」というのはアメリカで生まれた言葉で、そもそも粗悪・低俗な映画という意味ではなく、短期間撮影で低予算の映画を指す言葉だったそうです。
映画全盛のころ、新しいスタジオがどんどん新築され、ある映画会社が旧スタジオを「Bスタジオ」と呼び、低予算の映画が「B映画(B-picture)」と呼ばれ、それがB級映画のもとになりました。
B級映画がこうした背景とは別に、品質の悪いものであるかのように言われることは残念なことですが、B級グルメに同様のことが言えます。
もともとB級グルメというのは庶民の安くて旨い食べ物という認識が一般的だと思いますが、一部のメディアが寄食・珍食、ゲテモノなどをB級グルメと称して面白おかしく取り上げたり、することで、一部否定的なイメージを持つ方がいることも事実です。
実は私たち自身はB級グルメに対して、決して悪いイメージは持っていません。むしろ昨今ではプロモーションワードとしても、注目度が高く、昨今では若い人たちがB級グルメを食べに旅行に出かけるなどということもあると聞きます。
しかし一方で、一部の大学関係者やコンサルタントなどが、本質的な活動や理念を理解することなく、B-1グランプリをB級グルメのイベントと決めつけ、その決めつけに基づいた的外れな批判を展開するということも起こるようになりました。
「B級グルメは不衛生なイメージがありますね」
「みなさんのまちはA級ではないですか。B級なんかでまちを売っていいんですか」
「B級グルメを作ればいいと思っているのではないですか」
どれもB級という言葉を攻撃対象として、B-1グランプリにひもづけてなされたご批判です。
また最近ではマスコミの取材で「B級グルメの特集で」、などと各地域の飲食店舗に直接取材の以来が入ることがあります。
私たちはB級グルメに取り組んでいるわけではないのですが、取材以来を受けた店舗の方からその地域のまちおこし団体に「うちの料理はB級じゃねぇ。余計な宣伝をするな!」などといわれてしまうといったトラブルが地元で起きるようになってきました。
愛Bリーグは飲食店の組合などではないので、活動の主体は飲食と全く関係のない方が数多く活動しています。
だからこそ、純粋にまちを盛り上げていこうと考えているのですが、当然飲食店の方々協力は必要です。
こうした方々に誤解され、せっかくのまちおこし活動に支障をきたしかねないことも起きてきたのです。
もともとB級を売りにしたつもりはないのですが、有名になるに従ってB-1グランプリの名称と、景気の影響などから都市部での安くて旨いB級グルメが注目されることで、ごちゃ混ぜになって多くのメディアに取り上げられ、その結果さらに知名度が上がってきたことも事実です。
現在は「B級グルメ」「ご当地B級グルメ」の企画についてのご協力は全てお断りしています。
企画内容がまちおこしのコンセプトとは相容れないことが多いことが分かってきたためです。
「ご当地グルメ」の企画であれば、基本的に「ご当地」が主役になるので、地域独特のものの中で、手ごろで親しみのあるものが取り上げられます。
ところが「B級グルメ」「ご当地B級グルメ」と括られると、まちおこしの取り組みで有名になった料理と、いわゆる単なる個店のB級グルメや、時にはキワモノなどと意図的に一緒に取り上げられることがあることがわかってきました。
私たちの活動は現地に来てもらうことが目的の活動ですから、まずは注目してもらい、現地に来てもらうきっかけに繋がれば、その形式を問うことはありませんでした。
しかしながら、B級グルメと一緒に扱われることが、まちおこし活動にとって悪影響になるということがわかった以上、B-1グランプリはB級グルメに取り組んでいるのではないことを明確にすることが必要になってきたのです。
私たちはまちを元気にするために活動しているのであり、B級グルメを売っているわけではありません。
現在は愛Bリーグ加盟団体としてはB級グルメに関わる企画については、取材等をご遠慮させていただいております。なにとぞご理解のほどお願い申し上げます。